際立つ群馬大病院の死亡率、全国平均の約6倍
2015年01月17日
日本外科学会は、15日記者会見を開き、群馬大学病院で腹腔鏡を使った手術を受けた患者が8人死亡した問題を受け、初の全例調査の結果を公表しました。
全例調査は、全国で行なわれた全ての外科手術を登録するNCD(ナショナル・クリニカル・データベース)の2011〜2013年間のデータを用いて、全国2336の医療機関で実施された消化器系の手術1,377,118件を対象に日本消化器外科学会と日本外科学会が合同で調査しました。
また、肝臓手術は、問題となった保険適用外の腹腔鏡手術を調査の対象としました。
調査結果によると、手術全体の23,489件の肝臓手術について算出された死亡率は3.69%で、腹腔鏡に限って算出した死亡率は2.27%となり、肝臓手術全体の平均値よりも下回りました。
全国平均の2.27%に対して、群馬大病院で問題となっている第二外科の死亡率は13.79%と極めて高く、全国平均の約6倍にもなる事が分かりました。
肝臓手術における腹腔鏡手術の割合は年々増加しており、群馬大病院では約7割の手術を、腹腔鏡によって行なってきました。
群馬大病院の第二外科が、2010年12月〜2014年6月の期間に行なった肝臓の腹腔鏡手術のうち、8人が約3ヶ月以内に死亡しました。 そのうち保険適用外に限定すると、手術を受けた患者の数は58人で、死亡率は13.78%にのぼります。
日本大学医学部消化器外科の高山忠利教授は、「これまでは一部の専門学会から0.1%未満とあまりにも低い死亡率の報告もあったが、今回の2.27%という死亡率は、実態を反映した数値と言える。 群馬大の死亡率が高過ぎるのは言うまでもないが、からだに優しいとされる腹腔鏡手術についても、通常の開腹手術と同程度のリスクがあることを、患者に正しく説明する必要がある。」と話しています。
また、「今回の調査結果を見て、群馬大病院が高い・低いというのは控えたい。ただ、一般の方が高いと思うのならば、そういう感じ方もあると思う。」と、東大肝胆膵外科・國度土典宏教授は言葉を選びながら述べました。
群馬大病院の問題に関しては、病院側の最終的な調査結果を待って、学会としての見解をまとめる方針です。
今回の調査結果に衝撃を受けた群馬大病院で死亡した患者の遺族は、「平均がその数字だという事は、群馬大病院は凄く高いんですね。」と言って絶句しました。
母親が腹腔鏡手術を受け死亡した群馬県内の女性は、「母は手術は受けたくないと訴えていました。 亡くなってしまった人の命はもう帰ってきませんが、今後、悲しむ人が一人でも少なくなるように群馬大病院はしっかり調査して欲しい」と語ってくれました。