生体腎移植で5人ウィルス感染か
2014年12月15日
ウィルスに感染した提供者からの生体腎移植で、少なくとも5人にウィルスが感染し、歩行困難などの麻痺が発症したと厚生労働省は12日発表しました。
厚生労働省によると、提供者はヒトT細胞白血病ウィルス1型に感染していましたが、感染者からの移植は禁止されていないため、そのまま提供されました。 この感染者から生体腎移植を受けた患者のうち、少なくとも5人にウィルスが感染し、歩行困難や足の麻痺を伴うHTLV-1関連脊髄症(HAM)を発祥したとの事です。HAM研究者から移植が原因とみられる患者5人を確認したとの報告で分かりました。
いずれも2001年以降に移植を受けています。
5人は移植前に提供者とともにウィルス検査を受けていて、提供者は感染していましたが、5人は感染していない事は事前に確認されていました。
感染者から腎提供を受けた場合の発症率は5%以上と推定されており、通常の感染者の20倍以上に上ります。
感染症発症までの期間も通常の50年にくらべて1〜5年と早くなっています。
これまで感染者からの腎移植は禁止されていませんでした。
ウィルスに感染しても発症率が低く、発症までの期間が長いと考えらていた為で、提供者のウィルス検査も義務づけられていませんでした。 検査を行なうか否かも施設側に委ねられていました。
ウィルスは日本人男性の約0.66%、女性の約1.02%が感染していると推定されており、母乳などを通じて感染し、そのうち0.25%がHAM、5%が成人T細胞白血病を発症すると推定されています。
厚生労働省は日本移植学会に対し、すべての生体腎移植でウィルス検査を実施するように要請しました。
また、研究班を設置して、詳細な調査を行なうとしています。